「道路橋の維持管理・長寿命化」コンクリート床版の耐久性向上をはかる! と題した講演会を開催しました |
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6月29日に当所講堂において「道路橋の維持管理・長寿命化」の講演会を開催しました。本講演は、(社)日本建設機械化協会、(株)高速道路総合技術研究所、(財)災害科学研究所が主催で、東京、大阪、福岡、札幌と順次実施されてきたもので、最後の開催地,札幌では寒地土木研究所が協賛となっています。
近年、道路橋のコンクリート床版で舗装損傷や通行止めを伴う抜落損傷等が続発し、社会生活に大きな影響を与えています。コンクリート床版の損傷原因としては交通荷重による疲労に加え、水の存在が大きく影響し疲労耐久性を著しく低下させることが既存の研究等で確認され、床版防水の重要性が認識されるようになってきました。 本講演会では、松井繁之 大阪工業大学教授を団長とした調査団が、100年の歴史がある欧州(ドイツ・スイス・イギリス)の床版防水技術を調査した調査結果の報告や、新東名高速道路等の橋梁で新規の床版防水工が適用された事例報告等がありました。 また、特別講演では当チーム主任研究員の三田村から、「道路橋床版の凍害劣化とその対策」と題して、床版防水工の変遷、積雪寒冷地特有の凍害等による床版の疲労損傷状態に関する報告、損傷のメカニズム、床版防水工の有無による劣化進行の相違等について、現在進めている最新の研究成果も含めて講演を行いました。 本講演会には、行政機関、研究機関、設計関係や施工関係等の多くの機関から会場定員を大きく上回る207名の技術者が参加されたことに加え,講演会の質疑応答の場では,報告内容に関して参加者から質問や意見が寄せられ、橋梁の維持管理や床版の劣化に対する関心の高さが感じられました。 本講演会を通じて、北海道の道路橋の健全性の維持や長寿命化を図るためには,床版防水が重要な役割を担っているとの理解が得られたものと思っております。 なお,本件は寒地土木研究所月報 平成21年9月号に掲載する予定です。 ■講演プログラム(敬称略) (1) 開会挨拶 松井 繁之 (2) 特別講演 「道路橋床版の凍害劣化とその対策」三田村 浩(寒地構造チーム主任研究員) (3) 報告 「道路橋床版における防水システムの必要性」松井 繁之(調査団長・大阪大学名誉教授) (4) 報告 「ドイツの床版防水システム」上阪 康雄(長崎大学工学部インフラ長寿命化センター講師) (5) 報告 「スイスの床版防水システム」谷倉 泉((社)日本建設機械化協会 施工技術総合研究所部長) (6) 報告 「イギリスの床版防水システム」奥田 和男(高機能床版防水システム協会会長) (7) 報告 「日本の床版防水システム」緒方 紀夫(NEXCO総研研究アドバイサー・中日本ハイウェイエンジニアリング東京部長) (8) 質疑応答 (9) 閉会挨拶 谷倉 泉
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