- 地震時における橋梁の衝突挙動に関する研究
地震時に既設橋において、設計で衝突を想定していない部材が、部材同士の衝突によって大きく損傷している事例があり、補修補強に多大な時間・コストがかかっている。一方で、衝突が抵抗側に作用し落橋等の重大な損傷を免れたと考えられる事例も認められており、これを積極的に活用すれば耐震補強対策工を軽減できる可能性がある。道路橋示方書では、これらの衝突挙動は考慮されず、実務設計上の有用な知見がないのが現状である。
本研究では、地震時の橋梁の衝突挙動を適切に考慮することが可能となるように、衝突時の部材の抵抗特性等について検討する。
- ゴム支承の低温時における限界性能に関する研究
ゴム支承は橋梁耐震性を確保するための重要な部材の一つである。ゴム支承は温度依存性を有し、寒暖差の大きな寒冷地では、橋梁の地震時挙動に影響を与える。既往地震でゴム支承の損傷・破断事例が確認され、H24道示において破壊形態の明確化、限界状態までの性能の担保が必要とされた。
本研究では、寒冷地(低温下)においても、確実に橋梁耐震性を確保するため、免震支承の限界性能を検証するとともに、性能評価技術について検討する。
- 橋梁ジョイント部の補修技術に関する研究
雪寒環境下において、橋梁ジョイント本体の鋼材腐食劣化や除雪作業時の衝撃的荷重作用等による損傷とともに、周辺舗装等の損傷が発生している。また、ジョイント部の止水機能の低下による漏水が鋼桁端部や支承等の腐食、橋座部の凍塩害の原因となっている事例がみられる。
本研究では、ジョイント部の劣化損傷特性を把握するとともに、それに応じた機能維持技術について検討する。
- せん断補強による道路橋床版の長寿命化に関する研究
雪寒環境下の道路橋床版には、大型車両による疲労、凍害、塩害、経年劣化などの要因により、層状剥離や押し抜きせん断破壊による陥没など、重大な損傷が発生している。床版の損傷は走行安全性の問題、跨線橋等においては第三者被害の発生も危惧される。増厚工法などがあるものの、死荷重の増加や、縦断高の変化に伴う施工の大規模化など課題も多い
本研究では、道路橋床版の部分打替え等も考慮し、できるだけ重量・床版厚の変化のない対策技術について検討する。
- 点検可能な漏水対策工に関する技術開発
道内国道トンネルの約6割に漏水防止板が設置されているが、背面覆工の状況評価がなされていない。漏水防止板設置箇所の覆工には変状が生じないということはなく、既設トンネルの安全性の確保、長寿命化に向けて、対策技術が求められている。
本研究では、漏水防止板設置個所の覆工の性能低下予測技術や点検技術等について検討する。
- 適正な橋面排水処理による橋梁の長寿命化に関する研究
道路橋において、RC床版の損傷が顕在化しているが、「疲労」に「水、凍害」の影響が加わると床版の破壊が数十倍の早さで進行することが明らかとなっている。安全で円滑な道路交通のため、RC床版の健全性の確保が重要であり、そのためには「水、凍害」の影響の排除が必要である。
本研究では、既設RC床版の予防保全的維持管理に資するため、橋面排水処理技術について検討する。